天涯の青を映す/(数寄)
- 2013/11/22(Fri) -
 渋谷にある、陶磁器専門の戸栗美術館は、実業家・戸栗亨が蒐集した東洋陶磁器を主に保存・展示。主な収蔵品は約7000点に及び、伊万里や鍋島などの肥前磁器、中国・朝鮮の陶磁器の名品を間近に見ることができる。

 ハチ公前交差点から109をへて東急を過ぎ、Bunnkamuraの裏手から観世能楽堂に向かう坂道に至ると、渋谷の喧騒がウソのような、静かな高級住宅街となる。本当に、ここが渋谷かと疑いたくなるほどの通りの雰囲気の変わりようは、突然異界に迷い込んでしまったような、不思議な感覚さえする・・・。

 能楽堂から少し行けば、戸栗美術館に到着する。私は、比較的小ぢんまりとしたこの美術館が好きで、年に何度か、足を運んでいる。


 一昨日、たまたま渋谷で仕事があり、ちょうど取材と取材の合間が2時間ほど開いていたため、駅から歩いて15分ほどの場所にあるこの美術館に、久しぶりに立ち寄ってみた。

 するとなんと、うれしいことに企画展が「館蔵 青磁名品展―翠・碧・青―」ということで、私の大好きな青磁の逸品の数々をじっくりと見ることができた。

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 なかでも、この美術館の収蔵品である「青磁染付 雪輪文 皿 鍋島」は、これまでもここで何度も見たが、しかし何度見ても飽きない。

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▲青磁染付 雪輪文 皿 鍋島 江戸時代(17世紀末-18世紀初)


 また私は、象嵌を施した高麗青磁も好きだ。青磁の上品さの中に、素朴な象嵌が加えられることで、なにか民藝的な温かさが宿るような気がする。

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▲青磁象嵌 蒲柳水禽文 鉢 高麗時代(1269/1329年)


 青磁の深い青、あるいは淡い青、はたまた柔らかい緑の色合いを見ていると、古代から中世の人々が愛した色彩の不思議な透明さに包まれるようで、なんとも心地よい。

 「雨過天青、雲破ルル処」と評された、「青」の磁器に囲まれて、至福の時間を楽しむことができた。

 本企画展は、12月23日まで開催中である。

 (了)
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深夜のペリカーノジュニア/(数寄)
- 2013/11/14(Thu) -
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 深夜2時半、今月新しく創刊される雑誌の原稿を書き終える・・・。

 一般的に、原稿を校正する際に訂正を書き込むには赤いペンを使うのだが、私は自分の原稿チェックには、緑色のインクを入れた万年筆を使う。

 とはいえ場末のライターゆえ、使うのはペリカーノジュニア(笑)。これにブリリアント・グリーンのインクを入れている。


 ペリカーノジュニアは、「スーベレーン」で知られるドイツの万年筆メーカー・ペリカンが、児童教育用にデザインした万年筆だ。私は黒と緑のインクを入れたものを二本、常に携帯し、仕事などに使っている。

 この万年筆、児童用とはいえ、なかなかに使い勝手がよく、コストパフォーマンスも高い。仕事にプライベートに、ガンガン使いまくっているが、ステンレス製のペン先は紙を噛むこともなく、しばらく使わないでいてもインクがつまることもなく、いつでもすらすら書けるのがうれしい。

 ペン先もボディも太めだが、それがまた素朴な使いやすさとなっており、キャップをボディにさして使うと、長さもちょうど良い。

 手裏剣に打つのにも、ぎりぎり許容サイズだ(爆)。

 それにしても、児童に万年筆を使わせるドイツという国は、なかなかに気骨があるなと思う。日本で言えば、小学生に毛筆を教えるようなものだろうか・・・。


 (了)
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青銅の世界/(数寄)
- 2010/11/25(Thu) -
 引き続き私の中では、青銅が熱い。

 というわけで、紀元前2000年頃、四川省長江流域で栄華を誇った三星堆文化の青銅器である。

三星堆
▲青銅縦目仮面(右)、青銅人面鳥身像(左)


 当然ながら、貧乏道場主が購入するものであるからして、レプリカである。

 値段? ラッキーストライク●個分くらいだと思っていただければ良い。

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▲「縦目」とは、飛び出した目のこと。日月の運行を支配する神だともいう


 この青銅縦目仮面に見られるように、三星堆遺跡出土の青銅器の魅力は、その奇妙奇天烈な造形である。

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▲顔は人間、体は鳥の奇怪な生き物


 さらに三星堆では、黄金の杖や仮面など、大量の金製品も出土しており、黄河で栄えた殷王朝に勝るとも劣らない文化・王朝が花開いていたと考えられる。

 
 というわけで、私の青銅ブームは、今しばらく続きそうである。

(了)

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青銅の剣/(数寄)
- 2010/10/21(Thu) -
 また、つまらぬものを・・・。

 ヤフオクで、パチモンの青銅の剣を入手。

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▲長さ/約62センチ 最大幅/5.5センチ 重さ/1.03キロ


 「中国 春秋時代 青銅製 銀象嵌 獣柄 帝王短剣」という能書きだが、本物ならウン億円であろうし、レプリカであることは、いわずもがなである。

 しかし、いつ、どこで、どのように複製したのかなどは、一切、説明されていない。

 梱包なども勘案して考えれば、いつ=現代、どこで=中華人民共和国で、というところまでは分かる。

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▲銀象嵌という触れ込みだが、値段的にありえないだろう


 500パーセント、レプリカに決まっているので年代は気にならない。銀象嵌というのも、値段から考えるに多分ウソだろう。なにしろ中国製品だしな・・・。それはいいのだ。

 一番気になるのが、素材についてなのである。

 これは本当に青銅製なのか? 本当は真鍮とか、あるいは他の安価な素材ではないのか?

 なんてったって、中国製品なのである。100個ある品物のうち、102個はパチモンという国なのだ(笑)。

 これを手に入れたのは、年代や象嵌などどうでもよくて、骨董じゃなくてもいいし、パチモンでもなんでもいいから、素材として本物の青銅が使われている剣を、手に取ってみたかったからなのである。

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▲脇差との比較。このサイズで重さが打刀なみなので、持つとかなり重く
感じる。斬るというより、突くか叩くというものであろうか


 しかし、冶金に明るくない私には、この剣が本物の青銅製なのか、真鍮製なのか、あるいは他の安っぽい合金製なのか、判別のしようもないわけだ。

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▲柄に彫られた人面(?)が、古代な感じで良いではないか


 それにしても、人類が青銅器を手に入れたのは、今から5000年前の紀元前3000年頃。

 以後、紀元前1700年頃、ヒッタイトが鉄器を作り出すまで、青銅器の時代は1300年間も続いたのである。

 またそれ以後も、青銅の剣は武具としての価値はうしなったが、祭事用具として長い間、珍重されていたという。

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▲なにが書いてあるのかは、もちろん読めない


 ま、古代のロマンというわけで、青銅器のマイブームが到来したわけである。

 (おしまい)
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無限の表情/(数寄)
- 2010/04/14(Wed) -
 表情や生気の無い顔を表すのに、「能面のような顔」などという。

 しかし実際には、能の面(おもて)というのは、実に多彩な表情を持っている。

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▲ようやくオークションで落札した、表情の良い「小面」。手ごろな値段で、顔つきのよいものは、めったにないのである


 フラットな光の中では、のっぺりとしてしか見えない面だが、自然の光で陰を得ることで、実に多彩な表情を得る。

能面
▲全体に光があたると、いわゆる「能面のような」のっぺりした無表情


 俯けば「くもり」、仰向ければ「てる」。

 陰影の作り出す、無限の表情は、果てるところを知らないようだ。

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▲光と陰が無限の表情を作り出す


(了)
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